テキストサイズ

近くて甘い

第22章 疑惑の二人

そのあと、学校を終えた私は、光瑠さんはともかく、要さんにも失礼なことをしてしまったかもしれないことが心配で、有川商事に行くことにした。


そもそも、昨日要さんには会ったんだろうか…


それくらいは光瑠さんに聞いておくべきだった…



「はぁ…」


最近溜め息の量が増えたような気がする。


もちろん幸せだけれど、やっぱり新しい生活が始まってから、色々とてんてこ舞いだもんな…



「いたっ…」


「あらっ、申し訳ありませんっ」



突然足に激痛が走った私は、わざとらしいその声の方をみた。


この人はっ…


「小さくて見えませんでした」



なっ…


漂う香水の香り…
昨日、私にチョコレートを持ってきてくれた人だ。



「……すみません、私もボッーとしてたので…」



昨日とは違うそのトゲトゲしい態度に困惑しながら、頭を下げると、彼女は何も言わずにそこから立ち去って行った。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ