近くて甘い
第22章 疑惑の二人
ななな何なのあの人っ!
「光瑠さんもちょっと胸が大きいからって鼻の下伸ばしちゃって…!」
顔を背けて壁にもたれながら私は一人で呟いた。
もうっ…本当にイライラするっ…!
「っ……真希さんっ…」
へ?
「あっ要さん!」
声を掛けて来た要さんの方に私は笑いながら駆け寄った。
…?
あれ?
いつも微笑んで見つめてくる要さんは、何故か顔を歪ませたまま、後ずさった。
なんで…?
少しショックを受けながら、要さんを見上げる。
すると、彼は目をそらして脇を見た。
「……体調は…大丈夫ですか?」
「体調?えぇ大丈夫です…」
そうですか、と呟いた要さんは、ゆっくりと私を見つめた。
「─っ────…」
どうして……
どうしてそんなに
切なそうな顔をしているの……?