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近くて甘い

第22章 疑惑の二人

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心の準備もないまま、要は真希に遭遇して、戸惑っていた。


いつもだったら、会社で見かけたら、とても幸せな気持ちになるのに、


今日はとてつもなく胸が締め付けられる。



「あのっ…やっぱり私っ…昨日要さんに何かしました?」



その言葉に要は大きく目を見開いた。



「覚えてないんですかっ…」



複雑な想いが要の胸の中で渦巻いた。


なかったことにしたいくらい、取り乱して、迫ってしまったというのに、


自分の想いが届いていないのかと思うと、また切ない想いが溢れてどうしようもない。



真希と光瑠が婚約してから、
諦めたつもりでいたはずなのに…


一度、重すぎる扉を開けてしまったがために…




「やっぱりっ…私なんかしたんですねっ!?!? 本当にごめんなさいっ…。この会社に来たことは覚えているんですけどっ…」



焦りながらひたすら謝る真希に要は言葉を返せずにいた。




「あっあのっ…」


「っ……大丈夫ですよっ…」



我に返った要は、すぐいつもの笑顔を作る。



「少し体調が悪そうにうなっていただけで、別に変な事は言ってませんでしたよ?」



「本当ですか…?」



「ええ…本当です──…」



良かった…


そう呟きながら、安心したように微笑んだ真希の事を見ながら、要も緩く微笑んだ。

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