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近くて甘い

第22章 疑惑の二人


はぁっと溜め息を付いた長い髪の人の姉と思われる方が、妹の方に振り返った。



「沙羅(さら)っ!そういう失礼な言い方はやめなさいよ…」


「はいはい、分かったって…」



さら…?


聞いた事がある…それもごく最近だ…



「すみません…、どうにか探し出しますね!」


「あっあのっ…!」



ニコリと立ち去ろうとする彼女を私はかろうじて引き止めた。



「要さんのオフィスは…この角を曲がって、すぐ右に見えるところです…」


「ありがとうございます…」



パチッとウィンクをした彼女は、妹を引き連れて、そのまま要さんのオフィスの方へまるでモデルのように歩きながら、去って行った。




「今の人たちって…」



ずっと黙っていた加奈子さんが、声を震わせたところで、私はあっ!と声を上げた。



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