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近くて甘い

第23章 薄情な作戦

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苦しそうに呟いた要さんは、どんどんと私に顔を近付けた。



「………どうすれば…あなたの心が手に入りますか?」




切なく囁かれて、身動きが取れなくなった。




「何もいらないんです…


あなたさえいれば…」




「んんっ…」



重なった唇───…


久しぶりの要さんとのキスは、どうしようもないほど、胸が苦しかった。



要さんは素敵な人で、優しくて、

初めて恋に落ちた人で…


なのに………



─────────────何が何でも、お前を他の奴に触らせたくないっ…



余裕のない横暴な彼が、悲しむ顔が浮かんだ。



いけないっ…







ガシャーーーン!!!!



大きな音が響いて、私と要さんはドアの方を見つめた。




「っ…失礼しました…っ!」



腫れた目から、涙を流す加奈子さんは、お茶の乗っていたお盆をひっくり返してそのまま去って行った。




「田部さんっ…」



私から身体を離した要さんは、グッと唇を噛んで、バンっと思いっきり机を叩いた。



「待って加奈子さんっ!」



こんなはずじゃなかったのにっ…
追いかけようとする私の腕を要さんが掴んだ。




「僕が行きます───」


「でもっ…」


「あなたが行ってもっ…余計話がこじれるだけだっ!」


「っ…」


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