近くて甘い
第24章 横顔が好きだから…
訳分かんないっ…
それでも加奈子は、有川商事を駆け巡っていた。
穴があったら入りたい?
いや、
いっそ消えてしまいたい?
今の感情を表現する言葉もなければ、知識もない。
とにかく一人になりたくて、加奈子は、会社を飛び出していた。
どこをどう走ったのかは分からない。
一晩中泣き腫らしたから、目もよく開かない上に、さらにこみ上げる涙のせいで、よく周りが見えないでいた。
「はぁああぁっ!もぉお最悪っ!!! もうやだやだやだっ!!」
外の白いベンチに腰を下ろした加奈子は、一人で叫びながら、顔を手で覆った。
副社長に、副社長と知る前に恋に落ちて…
藍や香純にバカにされながらも、もうどうしようもないくらい好きで…
「あああああもう!!! 分かってるっ!私なんてドジだしよく噛むしっ!うざいって言われるしっ!田舎出身だしっ!」