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近くて甘い

第27章 キスの責任

「留守中は…僕に任せて下さい」



「……」



「そのための副社長ですからね…」



ニコリと笑った要は立ち上がって、社長室を後にしようとした。



関根───


そんな要を光瑠が呼び止めた



「……なんでしょうか」


「…分かっていると思うが……
昨日の真希は…」




光瑠の言葉に、要は軽く目を見開いて笑った。



「悪気はない…ですか?」


「…………あぁ」



すぐに話を汲み取った要を光瑠は、静かに見つめた。




勘も良いし、最高に頭の切れる部下…
それが…関根だ──…



「まぁ…それが…逆にお前を傷付けたんだろうが…」



珍しく、笑いもしない要を光瑠は複雑な気持ちで見つめていた。



こいつは…今…何を考えているのだろう…




「…………仕事をします」



「待て!」




慌てて立ち上がった光瑠は、要の方へ歩んで行った。



「俺は…お前を信頼している…」


「…………っ」


「それに……幸せになって欲しいと思っている…



だが………」


「…──」


「真希だけは譲れない…」




強い眼差しで見つめられ、要は息が詰まった。



「……俺にはあいつが必要だ……」


「…………」


「だから、悪いが…真希を譲る事だけは…


それだけは


お前にしてやることが出来ない…」




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