近くて甘い
第28章 信頼の崩壊…
「「「 やったー!!!! 」」」
歩けるようになった子猫のユリちゃんを眺めながら、私と愛花ちゃんと隼人は三人で絶叫していた。
まだぎこちないけれど、懸命に歩いているユリちゃんに、もう涙が出そうだ。
「ご主人様を恐れずに拾った甲斐がありましたねっ!」
「本当っ!良かった〜!ねぇ〜隼人っ!」
「うんっ!! ユリちゃん頑張ったね〜!」
嬉しそうにユリちゃんの身体を撫でる隼人を見ていてまた胸が温かくなった。
最近色々なことがあったけど、本当に猫ちゃんたちを見ていると癒される。
要さんとは、まだあれから話を出来てないままだけれど、そこのことで頭がパンクしそうだったから、本当にいい事があって良かった。
「光瑠さん、早く帰って来ないかな…」
「きっとご主人様もびっくりされますねっ!」
「うん…」
本当、光瑠さんは猫嫌いだったけれど、最近はもうビビったりせずに自ら猫たちに触れる。
認めないけど、すっかり猫好きになっているように思う。
「あ〜ひかるおかえり〜!」
「お帰りなさいませ!」
え?
ドアの方を見て走り出した隼人にびっくりして私は振り返った。
「……あぁ…」
何故か力なく返事をした光瑠さんは飛びついた隼人を抱えて頭をわしゃわしゃと撫でた。
「ねぇ!ひかる!ユリちゃん歩けるようになったんだよ!!」
「……そうか…」
……あれ…?
予想していたような反応じゃなくて、私は首を捻った。
何だか元気がないし、私の事を一切見ないのも気になった。