近くて甘い
第29章 Little sisters!
キョトンとした沙紀と沙羅は、珍しく声を上げた要に驚いていた。
「なんだ…違うなら早くそういえばいいのに…」
「言おうとしたのに、お前たちがどんどん話してたんだろうが…っ」
「で…ゲイじゃないなら何で結婚出来ないの…?」
話が最初に戻って要は、また言葉に詰まった。
けれど、別に隠す事でもない。
小さく決心した要は、後頭部を掻きながら、床を見つめた。
「相手には婚約者がいる…
大切な人だけれど、そう思っているのは俺だけだから…だから結婚は出来ない」
それだけいうと、沙紀と沙羅は何も言わずにしばらく黙ってしまった。
やはり余計なことを言ったのだろうか…
気を遣わせてしまったような気がして、要は後悔しながら、顔を上げて、二人を見た。
「それって…片想いって…こと?」
沙紀が控えめに聞いてきたのに、要は黙って頷いた。
「…りっ…ないっ…」
「ん?沙羅今なんて──」
「ありえないっっ!!!!!」
!?
突然叫び出した沙羅に、要は目を見開いた。
何なんだ突然…
ビックリしながら同調を求めるように沙紀を見たら、沙紀も沙羅と同じように少し怒ったような顔をしていて、要はさらに目を見開いた。
「…おい……二人ともどうしたっ…」
「要に想われてるのに、他の人と婚約するなんてその人ほんっっっっとうにバカっ!!!!」
「その婚約者ってどんな人なの!? 要よりいい人なのっ!? ねぇ!そんな訳ないよねっ!?」
また迫ってくる二人に要は目を丸くしていた。