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「大切な人はいるけど、結婚はしない」



「え？なんで？」



少し目を輝かせた沙紀もまた要に顔を近付ける。





「なんでって…」




ずかずかに質問されて、要は困ったように、頰を掻いた。



今日はこの話からは回避されると思ったのだが…




「結婚出来ないからだ…」




「何で結婚出来ないの？」



「もっ、もしかして要ってゲイ!?」



「は？」



「うそぉ〜!!! 全然気付かなかったぁ!!」



「おいっ…ちょっと待てっ…」



勝手に話を進める沙紀と沙羅を、要は強引に止めようとするが、中々若い二人の勢いは止まらない。




「大丈夫っ！アメリカにもゲイの友だちたくさんいたし、もちろん偏見なんか何もないから！」


「私も！要が幸せなら全然いいよっ！」


「っ…だからっ…」


「あぁ…お母さんとお父さんは最初はびっくりするだろうけど、ちゃんと分かってくれるよ！」


「そうそう！二人も要の幸せを───」



「俺はゲイじゃない！！！！！」




要の叫び声にようやく二人は止まった。