近くて甘い
第30章 初恋の人
「でも…真希は、光瑠さんの事が、好きなんでしょ?」
「うん…」
それには迷いは無い。
色々な事があったけど、私は光瑠さんと結婚すると決めているし、心から、彼を愛していると言える。
「ならやっぱり、『私は光瑠さんと結婚するから、申し訳ないけど要さんの気持ちには応えられない』ってはっきり言葉にする事が必要なんじゃないかな…?」
「っ……でもっ…」
「でないと…関根様も前に進めないのだと思います…」
愛花ちゃんに言葉を遮られてハッとした。
「……そうだよ…真希は…無意識に、要さんのこと…引き止めてるんじゃない…?」
そんなつもりはなかった。
でも、思い返してみれば、最初、光瑠さんがふざけて、要さんが女を抱いたって言ったとき、動揺したし、複雑な思いを抱いたのは確かなことだ──…