近くて甘い
第33章 想いの暴走
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目が覚めてから、
手が震えて止まらない。
最悪だ……っ
自分がいなければ、きっと今見た夢のように、真希と要が幸せに暮らしていた───
それは、
誰もが羨むような理想のカップル…。
適わないっ…
そんな想いを助長させる。
光瑠が、真希を最初傍に置きたいと思ったのは、真希を愛していたからではない。
婚約者である悠月の影を真希に見たから…
だからそこ、惹かれて、そして、無理矢理この家に引き連れて、無理矢理従わせて、無理矢理…
全部“無理矢理”だった…。
夢のせいで余計に今、自分が真希といるべきではないのではないかと光瑠は思った。
堪らなくなって、光瑠はベッドの中で手を伸ばした。
「っ………」
いくら手を伸ばしても、そこに真希はいない。
慣れていたはずの孤独に苛まれて、光瑠はベッドから起き上がった。
カーテンからはまだ日の光りは入ってこない。