近くて甘い
第33章 想いの暴走
目の前で、私の身体を一心不乱に貪るのは、
私の知っている人ではなかった。
こわいっ…
「助けて…っ…」
声が掠れて上手く出ない。
そんな私を光瑠さんが鋭い目付きで睨んだ。
「お前はっ…一体誰に助けを求めているんだっ…」
「お願いですっ…光瑠さんっ…やめてっ…」
「────関根かっ…」
光瑠さんの言葉を聞いて、ついさっきまで見ていた夢を一気に思い出した。
お金で私を買おうとする光瑠さんから、要さんは私のことを必死で守っていた。
私があの雨の日、諦めずに要さんに声を掛けていたら開けていたまた別の結末…。