近くて甘い
第33章 想いの暴走
「俺はただっ…」
「っ…やっ…!」
手を伸ばして来た光瑠さんに、私は反射的に身体を震わせてさけてしまった。
その私の動作に
大きく目を見開いた光瑠さんを私はハッとしながら見つめた。
違うっ…今のはっ…
嫌なんじゃなくて…ただっ…まだ身体が恐怖で…
「…よく分かった」
そう言ってベッドから立ち上がった光瑠さんは、裸の私に布団を被せてそのまま扉の方まで黙って行ってしまった。
あぁっ…
待って…行かないで…っ
「真希…」
「─────…」
「婚約を…
解消しよう───」
え…?
婚約を…
解消…?
「お前の……好きなときにここから出ろ…」
「ひ…かるさん…」
「生活には不自由はさせない…だから…心配するな」
それはどういう意味なの…?
去って行った光瑠さんの事を、私は追いかけることが出来ず、身体の震えを抑えるので精一杯だった。