近くて甘い
第35章 交わらない想いと出発
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車に乗り込もうとする光瑠は、足を止めて、屋敷を見つめた。
奥の部屋には、真希がいるはず───…
結局あれから顔も見せる事が出来ずにパリに飛び立たねばならない。
「社長…」
心配そうに寄って来た要のことを光瑠は目を細めて見つめた。
男の光瑠から見ても、要はいい男だ──
いつでも、人の事を考えている、誠実で心優しい性格…
敵わない─────
その想いに、未だ変わりはない。
渦巻く嫉妬と格闘しながら、光瑠は小さく息を洩らした。
「誤解は解けたんですか…?」
「いや…」
話しすらすることもままならなかった──…
「媚薬なんかに屈した俺が悪い…」
「そんなっ…」
珍しく慌てた様子を見せた要に光瑠は軽く微笑んだ。
関根となら…っ
関根となら、真希もきっと…
「頼んだ──…」
「何をですか…」
鋭く見つめた要は光瑠の腕を強めに掴んだ。
「会社と…っ」
「会社とっ…会社と何ですかっ…」
唇が震えて、言葉が出ない。
いや、正確に言うと、言葉に出したくない。
この期に及んでもなお、
彼女を…真希のことを諦められないでいる───
車に乗り込もうとする光瑠は、足を止めて、屋敷を見つめた。
奥の部屋には、真希がいるはず───…
結局あれから顔も見せる事が出来ずにパリに飛び立たねばならない。
「社長…」
心配そうに寄って来た要のことを光瑠は目を細めて見つめた。
男の光瑠から見ても、要はいい男だ──
いつでも、人の事を考えている、誠実で心優しい性格…
敵わない─────
その想いに、未だ変わりはない。
渦巻く嫉妬と格闘しながら、光瑠は小さく息を洩らした。
「誤解は解けたんですか…?」
「いや…」
話しすらすることもままならなかった──…
「媚薬なんかに屈した俺が悪い…」
「そんなっ…」
珍しく慌てた様子を見せた要に光瑠は軽く微笑んだ。
関根となら…っ
関根となら、真希もきっと…
「頼んだ──…」
「何をですか…」
鋭く見つめた要は光瑠の腕を強めに掴んだ。
「会社と…っ」
「会社とっ…会社と何ですかっ…」
唇が震えて、言葉が出ない。
いや、正確に言うと、言葉に出したくない。
この期に及んでもなお、
彼女を…真希のことを諦められないでいる───