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近くて甘い

第35章 交わらない想いと出発

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離れていく靴の音に私は目を見開いた。



行ってしまうっ…




扉に手を当てたまま、私はしゃがみ込んで泣き崩れた。





──────────お前は俺のものだっ…!




──────────狂いそうなほど、愛してるっ…






もらった言葉たちが灰になる…






「行かないでっ…」




全部全部今さら…





「愛してます…っ!光瑠さんっ愛してるっ…」




いくら叫んでも、もう足音が聞こえてくることはなかった。

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