近くて甘い
第36章 メイドの恋模様♪
「今…真希様…元気がなくて…」
「……っ」
「早く…ご主人様と仲直りしてほしいんだけど…」
フェンスを掴んだ愛花は、落ち込んだ様子で視線を落とした。
真希とは違う、あどけないその表情。
控えめな愛花はいつも陰から真希の事を心配して、真希が嬉しそうなら喜び、悲しそうなら涙を流す…
なんか…
ほっとけないんだよな…
何の気なしに愛花に手を伸ばした浩平は、突然愛花がこちらを向いて来たのに我に返って手を引っ込めた。
「ごめんっ…、こんなこと浩平くんに言うだなんて私無神経だったよねっ…」
「えっ…?あぁっ…いやいや全然っ…」
慌てた二人は丁度鳴ったチャイムに少しだけホッとした表情を見せた。
「戻らなきゃね…───」
「だな…」
チラと視線を合わせた二人は微かに頬を染めて、そのまま屋上を後にした。