近くて甘い
第37章 立つ悪女は後を濁す
「苦しいのは分かりますっ…!でも…それで逃げていてはダメだっ…」
「でもっ…」
本当にこんなの耐えられない。
光瑠さんは私からすんなりと去っていってしまったのだ───
ここを出ろと、そこまで言われた私には、もう逃げる事しか出来ない…っ
「社長はあの日、媚薬を盛られていましたっ…」
「─────…」
想像もしていなかった言葉に、私は要さんを見つめたまま目を見開いた。
媚薬…って……
「誰がっ…なんの目的でっ…」
「櫻井 香純です…」
「か…すみ…さんが…っ」
いつだったか、鋭い目で私を見て来たのを私は忘れない──…