近くて甘い
第37章 立つ悪女は後を濁す
いやっ…
「でも…光瑠さんは香純さんにっ…」
─────────愛してる…
濃厚に絡んでいた唇…
一番見たくなったあの光景…
「社長は…櫻井のことを真希さんだと勘違いしていました…」
「っ……」
「あの言葉は…全て…あなたに向けられたものです…」
「っ……そんなっ…」
そんな事がある訳ないっ…
「いくら媚薬を飲んでいたとはいったって、私と香純さんは背格好も全く違いますしっ…そんな間違えるだなんてことっ…」
「────っ…」
何故か顔を歪ませた要さんは、俯いたあと私の肩からゆっくりと手を下ろした。