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近くて甘い

第38章 花の都は恋の街

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抱き締め返すのを躊躇いながら、光瑠は自分の腕のやり場に困っていた。





「……悪かったっ…」




辛うじて出た言葉。





拒まれたと…そう思ったから…


関根を選んだのだと…そう思ったから…


だから手放したつもりだった。



愛しているからこそ……彼女の幸せを願っていた、のだが───





「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…!」




泣いたと思ったら怒り出し、そして今度は仕切りに謝る真希の頭を見つめながら、光瑠は堪らずに力一杯抱き締めた。




一層声を上げて泣く真希は光瑠のスーツをグッと握って離れまいと抱き着く。



身体の中から堪えていたものが一気に溢れ出す…




こうやって何度も何度も彼女に魅了されて…



何度も何度も彼女に恋に落ちる…

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