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近くて甘い

第38章 花の都は恋の街

愛されている──…



それをひしひしと感じる。




今まで見る事のなかった真希の嫉妬に心が弾んで止まらない。



ハラハラとしきりに流れる涙を光瑠は微笑みながら、両手の親指で拭っていく。




「……分かった…」




今さらだ…



頼まれずとも


もう心も身体も


真希しか欲していない。





「お前もっ…もう俺から離れることは許さないっ…」




ブンブン首を縦に振る真希。



愛しくてどうしようもない…




「結婚してくれ….」
「結婚して下さい…」





互いに同じ言葉を発した二人は目を見開いたあと、見つめ合う。





近付いた二つの唇から、切なく甘い溜め息が洩れた。





「……俺の方が早かったな…」


「私の方が早かったですっ…」



「それで…返事は……?」



「っ…聞く必要ないじゃないですかっ……」




フッと笑った光瑠は、真希の瞳を真っ直ぐに見つめた。



幻想ではない…今度こそ彼女はちゃんと自分の腕の中にいる……





「……愛してる…」





吸い込まれるようにして重なった唇。



離れていた時間を埋めるように、何度も顔を交差させながら、そのキスを深めていった…




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