近くて甘い
第39章 言葉と想いと…
「何かすることはあったかっ…」
冷静を気取っているつもりらしいが、全く出来ていない…
まるで少年のような光瑠。
いつも怒鳴られているのにも関わらず、かわいいという感情すら涌く…
「いえ…特にはありません…」
エレベーターをおり、廊下を歩きながら、会話を続ける。
丁度部屋の前についた光瑠は、酒田と話しながら、カードキーを真希に渡した。
「えっと…これは…?」
「鍵だ。お前は先に中に入ってろ…」
微かに頬を紅くした真希は、コクンと頷いて扉の方を向いた。
そんな真希の横顔を落ち着かない様子で見つめる光瑠を見ながら、酒田は自分の部屋の鍵を開けた。