近くて甘い
第39章 言葉と想いと…
たまにこうやって優しい言葉を掛けてくる。
そのタイミングの絶妙な事と言ったら…
フッと笑った酒田は、光瑠のことを見つめた。
だから、どんなにきつくともやめようとは思わないのだ…
社長には、ついていこうと思わせる、不思議な力がある…。
「ありがとうございます…では、失礼します…」
パタンと酒田が扉を閉めたのを確認した光瑠は、素早く辺りを見回したあと、早足で真希の元へと近付いた。
「もぉっ…何これ分かりにくいっ…」
ぶつぶつ言いながら、鍵に苦戦する真希を見ながら、もう止めることの出来ない想いの処理に光瑠は困惑していた。
やっと…
やっと真希と二人きりになれる…
もう…充分すぎるほど俺は我慢したっ…
「えっ…?んんっ…」
後ろからスッと真希からカードを奪った光瑠は、真希を自分の方に向かせてドアに追いやり、その唇を奪った。