近くて甘い
第42章 パリの夜は…
愛しすぎて…失うのが怖い…
溺れているのを感じる。
指輪一つで真希を繋ぎ止められるのなら、いくら宝石が大きくても構わない──…
再び指輪に視線を落とす光瑠の頰を真希が触れた。
「────私はどこにも行きませんよ…」
「─────…」
「指輪が無くても…宝石の大きさがどうでも…気持ちの大きさは変わりませんから…」
ニコリと微笑んだ真希の額に触れる。
まとめあげられた髪に手を滑らせて、かんざしを外すと、ふぁさっと音を立てて、黒髪が解けた。
声を発することのないまま、ただ見つめ合って、優しく唇が重なった。
もどかしい、浅い口づけ──…
二人の吐息が交ざって、溶け込んでゆく…