近くて甘い
第43章 将来の扉
「ごめん…遅くなったっ…」
「もぉ!何してるの?早くしないと始まっちゃうよっ!」
っ………
愛花に手を掴まれた浩平は、ドキンっと心臓を弾ませながら走る。
燃えるような太陽が、ジリジリと地面を焼く。
まだ夏休みに入ったばかりだというのに、本格的な暑さに愛花と浩平の額に汗が流れる。
「亮たちは?」
「もう先に着いてるって言ってたけど…」
麦わら帽子のつばが広いせいで、愛花の表情が見えない。
「まぁ……どっかにいるよな…会場に着けば探せる────」
「押さないでくださーーーい!!!!」
警備員の声に浩平はハッとして前を見た。