近くて甘い
第43章 将来の扉
言ったあとでパニックになった浩平。
いやいやいやいやいやっ…!!!!
俺はこれで良くても野口は良くねぇかもしんねぇじゃんっ…
ああああ…っ
それでも…
手を離すのは、惜しい…。
「っ…野口が嫌ならっ…離すけどっ…」
恥ずかしくて顔は見れないままだった。
人が多くて、辺りはざわついているのに、何の音も聞こえないような感覚に陥る。
「………いやじゃない…」
愛花の
小さな小さな呟きを
浩平は聞き逃さなかった。
「────…」
「……だから…」
ようやく顔を見合わせた二人。
互いの顔が紅いのは
熱いからなのか…
それとも───…
「だから…このままでいいよ…」
「……おうっ…」
ギュッと再び強く愛花の手を握り直した浩平は、そのまま顔を上げた。