近くて甘い
第44章 White Prince and Black Prince
解れたレースを直しながら、愛花はぼんやりとしていた。
───────────────誤解じゃねぇからっ!
Espoirのレセプションからもう随分経ったが、まだあのときの浩平の言葉が頭から離れない。
どうも気まずくて何も進展がないままここまで来てしまった。
浩平くんは真希様が好きだったはずで…
そして
私は………小林先生のことが……好き…“だった”…
「はぁ……」
溜め息をついたあと、針を針山に刺した愛花は、立ち上がってある袋を開いた。