近くて甘い
第44章 White Prince and Black Prince
「良かったっ…私あの二人ってすごく──」
「あ〜はいはい。分かったからメイド服着て」
「えっ…?」
紙袋から衣装を取り出した梨子は当然の顔をして私にメイド服を渡した。
「愛花ちゃんの代役。あんたね」
「そんなっ…」
「いいじゃん。光瑠さんも来ないんでしょ…?」
まぁ…そうだけどっ…
戸惑いながら、メイド服を見つめる。
裏方のつもりだったけど…まさかこんなことになるなんて…っ
「分かった…やるよ…」
「うん、ありがと!じゃあ急いで着替えてきて!」
本当に光瑠さんに文化祭のことを言わなくて良かった…っ
そんなことを思いながら、私は更衣室に走っていた。