近くて甘い
第44章 White Prince and Black Prince
ダメダメすぎんだろ…俺…
はぁっ…と息を吐いたと同時に、急に強く背後から抱き締められた感覚に、浩平は目を見開いた。
「っ……野口っ…?」
「私もっ…小林先生のことっ…本気で好きだったっ…」
顔を真っ赤にしながら浩平の背中に顔を埋める愛花。
浩平の執事の衣装からは、ずっと有川邸で作っていたからか、有川邸と浩平の香りが入り交じった香りがした。
「でもっ…
それはっ…過去の事なのっ……」
背中から感じる愛花の熱に、浩平は目を細めた。
ああ…
「野口…」
「…っ…うんっ…」
「好きだ…」
「っ………」
「しかも…めっちゃ…」
「っ…うっ、うんっ…」
想いをついに口にした浩平は、自分の腰に回っている愛花の手を掴んで外すと、クルリと振り返って、愛花の事をまっすぐに見つめた。