近くて甘い
第47章 淡くて儚い
ふぅっと息を吐きながら、要はソファーに腰を下ろした。
目を瞑ると、今日の光景が頭に浮かぶ…
メイド服を纏った真希に、
怒りを露わにする光瑠…
いつものように、そんな社長の姿に慌てる酒田…
きゃあきゃあと騒いで止まなかった女子高生たち。
そして……
─────────────要くんっ…
か細い声の記憶に要は思わず閉じていた目を開けた。
まさか……
真希さんの学校にいるとは…
自然と視線が下に落ちて、要は背もたれから背中を離すと、片手を顔を覆った。
変わっていなかった…
あの時から何も……
その記憶は…
何よりも、淡くて儚い…