近くて甘い
第47章 淡くて儚い
「相原…先生……って呼んだらいいでしょうか?」
すかさず丁寧な話し方になった要に、恵美はふふっと笑って頷いた。
「それで……君は…もしかして関根 要くん?」
当てられたことにまたまた驚いた要は、少し不審がるような目で恵美を見た。
「なんで知ってるんですか…」
「……こんなにかっこよくて、しかも日本人って言ったら、あの有名な関根くんしかしないかなって…」
「分かっていて…僕に話し掛けたってことですか」
探るような問い掛けに、恵美は引きつった笑みを洩らした。
「なんだか…噂通りなのね、要くんって…」
どんな噂が流れているかは要自身は知らない。
ただ、この頃から、例えあの場所がアメリカだとしても、要の容姿の美しさと頭脳明晰さは同じ学校の者なら誰でも知っていることだった。