近くて甘い
第47章 淡くて儚い
「………では」
「あ…要くん…」
聞こえないふりをして、要は静かに立ち去る。
本は好きだから、よく図書館には行く方だが…
あんな人いただろうか…
そんなことを考えながら、要は教室に戻った。
『要!!今度一緒に遊びに行かない?』
『……ごめん、やることがあるから』
男女かまわず毎日のように誘われて、断って…
楽しく学校生活は送っているものの、当時から女にはまるで興味がないといったように、軽くかわす。
それでも決して嫌われたりはしなかったのは、要の人柄の良さからだろう。