近くて甘い
第47章 淡くて儚い
そしてある日のこと…
本当に…いた…
後日、いつものように図書館へ足を運んだ要は、遠めからレファレンスカウンターを見て、恵美の姿を発見した。
『その本だったら、向こうの棚の方にあるわ』
しっかりと英語を話している彼女を見て、変に感心した。
本当に司書なんだな…
落ち着いたその笑顔、若さからいうとまだ学生のようにも見える。
ぼんやりと眺めていたら、目が合って、恵美は要に手を振った。
やっぱり…たまに無邪気で生徒のようだ…
ふっと笑った要は軽く会釈して、目の前の本を手に取った。