近くて甘い
第48章 想いは混ざる
去っていった恵美の後ろ姿を見つめながら、要は大きくため息をついた。
一体彼女は何を考えているのか…
今更…
どうしようと言うんだ…?
旦那とは…
別れたのだろうか…
「ふっ…ふっ…副…っっ」
「あっ…ごめんっ」
ようやく加奈子の事を抱き締めていたことに気付いた要は慌てて身体を離した。
「あっ…」
しまったっ…
こんなチャンスないんだから黙って抱き締められてれば良かったっ…
表情を崩した加奈子に、要は顔を歪ませて、様子を見る。
「悪かったよ…」
「あっ、いやっ…」
「咄嗟のことで、よく考えもしないで…」
「っ…」
何だか、そんなにも謝られると逆に悲しいんだけどな…
「平気です…それより…」
あの女の人は───
「お詫びと言ったらなんだけど、今度、食事でも行こう。」
「えっ…?」