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近くて甘い

第50章 選択

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教えてもらった数学の問題を解いていると、光瑠さんが、私の顔を覗き込んできた。



「…どうした…疲れたか」


「え…あ…いや…」


「もう22時になる…今日はこの辺でやめても──」


「いや、疲れてるわけじゃないんですが…」



そう濁してペン置くと、光瑠さんは、不思議そうに私のことを見つめてきた。



「なら…どうした。身体の具合でも悪いのか?」



心配そうな光瑠さんに首を横に振った。




「なんだか…要さんの様子が変だったので、ちょっと心配で…」



今日の夕方、私は要さんに約束通り英語を教えてもらった。


だけど、その時の要さんの様子が…




「変?変って…どう変だったんだ」



「なんか、うわの空というか、終始ぼぉっとした感じで…」



心ここにあらず、といった状態がまさにぴったりな、そんな状態だった要さんの様子を伝えると、光瑠さんは、ふぅん…と息を吐いて顎に手を当てた。




「昨日同じようなことを酒田も言っていたな…」







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