近くて甘い
第51章 最後の約束
黙ったまま要のことを見つめながら、加奈子は不安に駆られていた。
お付き合いしている人がいるのに、こんな我がままを言って、また困らせてるよねっ…
「ごめんなさいっ…私また変なことを…」
「分かった…」
「へ…?」
要の返事に、気の抜けた返事をした加奈子は、キョトンとしながら要のことをみた。
今…
分かったって…
「今夜…何かあるかな?」
「いっ、いえっ…」
「じゃあ今夜、一緒に行こう…」
これで…
これで最後にする…
だから、いいよね…。
「約束…だからね…」
目にかかりそうな黒髪が、さらりと靡くのを見ながら、加奈子は、ゆっくりと返事をしていた。