近くて甘い
第52章 未来のために
色とりどりの紙の破片が、床にたくさん散らばるなか、私は、まだハサミで紙を切っていた。
隣から聞こえてきた、うっ…という声に、またか…と呆れながら、手を止めた。
「光瑠さん…線はここです…すごいズレてるじゃないですか…」
「あぁあ〜〜!うるさいっ!何故俺がこんなことをしなくちゃ───いだっ…」
「あ、やだっ…指切ってるじゃないですかっ…もうっ…ジッとして!」
ポトポトと血を出す光瑠さんに私は慌てながら、廊下を歩いていたメイドさんに救急箱を持ってきてもらうように頼んだ。
全く…
ハサミくらい使えるかと思ったらこの有様…
「痛いですか…?ちょっと指を見せて下さい」
「大袈裟だっ!この程度の傷はほっとおいたってすぐに──」
「もぉうるさいですっ!いいから指を出して下さいっ!」
まるで親のような気分でそう光瑠さんに怒鳴りつけると、光瑠さんは、とても不服そうに私に指を差し出した。
細くて長い指から鮮やかな血がにじみ出る。
繊細で器用そうな指なのに、こんなに不器用だなんて、知らない人だったら絶対思わないはずだ。
隣から聞こえてきた、うっ…という声に、またか…と呆れながら、手を止めた。
「光瑠さん…線はここです…すごいズレてるじゃないですか…」
「あぁあ〜〜!うるさいっ!何故俺がこんなことをしなくちゃ───いだっ…」
「あ、やだっ…指切ってるじゃないですかっ…もうっ…ジッとして!」
ポトポトと血を出す光瑠さんに私は慌てながら、廊下を歩いていたメイドさんに救急箱を持ってきてもらうように頼んだ。
全く…
ハサミくらい使えるかと思ったらこの有様…
「痛いですか…?ちょっと指を見せて下さい」
「大袈裟だっ!この程度の傷はほっとおいたってすぐに──」
「もぉうるさいですっ!いいから指を出して下さいっ!」
まるで親のような気分でそう光瑠さんに怒鳴りつけると、光瑠さんは、とても不服そうに私に指を差し出した。
細くて長い指から鮮やかな血がにじみ出る。
繊細で器用そうな指なのに、こんなに不器用だなんて、知らない人だったら絶対思わないはずだ。