近くて甘い
第52章 未来のために
かわいい猫の柄の絆創膏を付けながら、わぁわぁと喚く光瑠さん…
冷静に考えるとその状態は面白い。
「ふっ…」
「何笑ってるんだっ!いいから古畑を呼んで普通の絆創膏を──」
「ふっ…うふっ…」
「真希っ!!! 聞いてるのかっ!」
光瑠さんが怒鳴れば怒鳴るほど面白くて、私は、ついて、お腹を抱えて笑った。
唇を噛んで、それはそれは不服そうにこちらを眺める光瑠さんは、チッと舌打ちをして、大きな声で古畑さんのことを呼んだ。
「っ…そんなに怒鳴ったら、折角手当したのに、血がまたたくさん流れちゃいますよ?」
「だまれっ!」
からかったら、本気でそう怒鳴ってきたので私は堪えられずまたさらにクスクスと笑った。
「………はい…お呼びでしょうか…」
「ったく!遅いっ!呼んだらすぐに来いっ!」
「失礼致しました…それでご用件は…」
理不尽な光瑠さんの言葉に長年執事を勤めている古畑さんは億することない。
「絆創膏をもってこいっ!今すぐにだっ!」
「おや?絆創膏でしたら、その救急箱に…」