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この前、近くて遠くて、人を拾いました!?

第1章 支度 (近くて遠い)

─────────…

光瑠は要の言葉に大きく胸をかき乱されながら、真希を見つめた。



「えっと…あのっ…」



言い淀む真希を見て不安が募るせいで、つい真希の手首を掴む力が強くなる。



「だからあなたには関係ないと言っているじゃないですか…社長──」


「っ…ふざけるなっ!真希は俺の婚約者だっ!!」



焦る光瑠を見て要はフッと笑った。



「僕を怒鳴るのは筋違いです。その時真希さんはあなたの婚約者ではなかったのですから。」



要の言葉を聞いて、光瑠は訳が分からず、あぁ?と威嚇するような声を出した。


要はそんな光瑠を見ると、真希に聞こえないよう、光瑠の耳元に近付いた。



「あなたは、確かその時“大好きな”お酒に溺れていたんじゃないですか…?」



その囁きに光瑠は目を見開いて身体を固めた。



あの時の出来事か…っ




今でも思い出すだけで苦しいあの日々…



自分のせいで真希を手放した…空白の時間──



様子が変わった光瑠を見て真希は微かに震えた。



「要さんっ…今一体何を…っ」


「真希さん…あの“夜”は本当に楽しかったですよね…」



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