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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 考えながら、一つ一つ言葉を選んで話す態度は、お都弥らしい思慮深さと優しさを思わせる。
「―そなたこそ心優しきことを申すのだな」
 嘉門はお都弥を眩しげに見つめた。
「誰にも話したことのない内輪の話だ。それにしても、誰にも話したことのないのに、何ゆえ、そなたにこのような話をしたのであろうな」
 呟きながらも、嘉門は既にその応えを得ていた。

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