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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 が、そんな大店の娘が何故、町外れの小さな絵蝋燭屋の店先で毎日、店番をしているのかが疑問だった。知りたいと思いながらも、訊けなかったのは、やはり、この少女の触れられたくはない部分に踏み込んでしまう恐れがあると無意識に思ってしまったからに相違ない。
 しかし、それは大きな間違いというものだった。仮にも妻にと望むほどの女であれば、その何もかもを知り、なおかつ受け止めてやらなければならない。

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