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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 それでも、お都弥は最後まで誰を恨むこともなく、微笑んでいた。己れが背負い込んだ不幸を嘆くよりも、得た数少ない幸福に感謝しながら精一杯、残り少ない生命の焔を燃やし続けたのだ。
「俺もそうやって生きてみるとするか、なあ、お都弥よ」
 だが、お前を失って、何の良いことがあるものか。

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