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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 茫然と立ち尽くす嘉門の傍らを、大八車を引いた男が勢いよく走りすぎてゆく。
 風呂敷包みを持った商家の内儀らしい女が嘉門をちらりと見て、通り過ぎていった。
 そんな通行人の視線さえ嘉門には眼に入らない。

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