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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第2章 壱

「あの―」
 後ろから遠慮がちに声をかけられ、嘉門は振り返る。
 そのときの嘉門の愕きといったら、天と地が引っ繰り返るほどのものだった。
 あの美しい娘が物言いたげに見つめている。娘がいつも座って店番をしている場所から、嘉門の立っている場所まではたかが知れている。嘉門は固唾を呑んで娘を見返した。

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