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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 刹那、沈んでいるかに見えたお都弥の顔が輝いた。
「やはり、あなたさまは、あのときのお武家さまでございましたか。背格好が似ておいででしたゆえ、もしやと思いましたが、不躾にお訊ねするのも失礼かと思って、お訊ねできませんでした」
「あ、あの折はそなたの親切で助かった。先日、まず礼を述べるべきであったのに、済まぬ」
「いいえ、私はあなたさまにまたこうしてお逢いできただけで嬉しうございます」

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