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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

「―そんなことはない!」
 予想外に大声で叫んでしまって、嘉門は、しまったと口を手で押さえる。
「私の父が万葉集を好んでおりましたもので、私も幼い頃から親しんで育ちました。町人風情が分不相応とお思いになるかもしれませんが」
 お都弥は微笑むと、差し出された傘と手ぬぐいを受け取った。

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