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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 従って、嘉門はこの歳になっても、女という生きものの生態については殆ど未知である。何をどう言えば歓ぶのかといったことも判らないし、女が泣くとなれば、哀しいときか厭なとき、辛いことがあったときと相場が決まっているとこれまでは信じてきたのだ。
「こんな時、俺はどう言えば良いのかはよく判らぬが、お都弥が泣いたら、俺はどうしたら良いか判らなくなってしまう。だから、泣くのは止めて、笑顔を見せてはくれぬか。―俺はお都弥の笑った顔が好きだ」
「―」

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