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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 嘉門が珍しく店の中にまで入ってきたのを見て、お都弥は眼を見開いた。
「はい、どのようなものをお探しでございますか?」
 嘉門がわざとらしくコホンと咳払いをする。
「女人に贈ろうと思うのだ」
 そのなにげない言葉に、お都弥の顔が心なしか翳った。嘉門がまたしてもの失言に狼狽える。

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