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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 お都弥は傍の箱から数本の絵蝋燭を手に取った。
「お母上さまでしたら、このようなものがよろしいのではないでしょうか」
 お都弥がはそれらの蝋燭を並べて見せる。
 紅い椿、薄紅色の桜、黄金色の山吹の花、更に紅白の睡蓮が眼の前で絢爛と咲き誇っている。
「凄いものだな、これを全部、そなたが描いたのか?」
 嘉門が感嘆の声を洩らす。

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