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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

 そうなのだ、嘉門の今日の不機嫌な原因もここにあった。
 今朝、屋敷を出る間際、嘉門は母祥月院に呼び止められた。
―殿、剣のご鍛錬に勤しまれるのは大変結構なことにございますが、最近、良からぬ噂が立っております。
―は、良からぬ噂にございますか?
 嘉門は本当に何のことか皆目判らなかった。

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